東京労働局発表 平成21年5月29日 |
担 当 |
東京労働局雇用均等室 室 長 峯岸 とも子 室長補佐 吉永 佳代 電 話 03(3512)1611 |
妊娠等による不利益取扱い・セクシュアルハラスメントの相談が増加
~ 平成20年度男女雇用機会均等法施行状況等について ~
東京労働局(局長 東 明洋)では、男女雇用機会均等法(以下、「均等法」という。)に関する平成20年度の施行状況をとりまとめた(均等法概要は別添1)。
労働者からの相談内容をみると、セクシュアルハラスメントに関する相談は依然として増加傾向にあり、昨年11月下旬以降の急激な雇用状況の悪化に起因する妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いの禁止に関する相談や、均等法の差別禁止事項が男女双方に拡大されたことによる男性からの相談が増加した。
【 ポイント 】
1.労働者からの相談は全体の5割を超え、妊娠等の不利益取扱いに関する相談は42.1%増加
平成20年度の均等法に関する相談件数は4,659件となり、うち労働者からの相談は2,394件で、全体の51.4%となった。労働者からの妊娠等を理由とする不利益取扱いに関する相談は304件と、前年度(214件)と比較して42.1%増加した。〈図表1、2〉
2.労働局長による個別紛争解決援助件数が約2倍に増加
平成20年度における労働者からの均等取扱いに関する個別紛争解決援助の申立は58件であり、前年度(31件)の約2倍に増加した。〈図表5〉
3.第24回男女雇用機会均等月間の実施について
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厚生労働省では、均等法の公布日(昭和60年6月1日)を記念して、毎年6月を「男女雇用機会均等月間」と定め、職場における男女均等について、労使を始め社会一般の認識と理解を深める機会としており、本年は 別添4「実施要綱」に基づき実施する。
1.均等法にかかる相談状況
(1) 雇用均等室に寄せられた相談の状況
平成20年度に寄せられた均等法に関する相談件数は4,659件で、前年度(4,490件)に比べ3.8%増加している。労働者からの相談件数は2,394件(うち女性2,232件、男性162件)で、全体の51.4%となった。均等法の差別禁止事項が男女双方に拡大されたことが浸透したこと等により、男性からの相談件数が前年度(76件)に比べ約2倍に増加した。
相談内容別に見ると、「セクシュアルハラスメントに関するもの」が2,672件と全体の57.4%を占め最も多くなっている。次いで、「母性健康管理措置に関するもの」(720件、15.5%)、「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関するもの」(614件、13.2%)の順になっている。
〈図表1〉 東京労働局雇用均等室に寄せられた相談件数の推移
〈図表2〉 東京労働局雇用均等室に寄せられた相談の状況
(2) 労働者からの相談の状況 〈図表3、4〉
平成20年度の労働者からの相談を内容別に見ると、「セクシュアルハラスメントに関するもの」が最も多く、1,815件と全体の75.8%を占めている。セクシュアルハラスメントに関する相談件数は平成19年度が1,532件で、前年度の629件と比較して約2.4倍に急増していたところであるが、平成20年度においても前年度の1.2倍となった。
次いで、「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関するもの」(304件、12.7%)、「母性健康管理措置に関するもの」(116件、4.8%)の順となっている。「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関するもの」については、前年度(214件)と比較して42.1%増加した。
〈図表3〉 東京労働局雇用均等室に寄せられた労働者からの相談状況
「セクシュアルハラスメントに関するもの」や「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関するもの」の相談が依然として増加していることは、均等法の改正により、セクシュアルハラスメント対策が強化されたこと、妊娠等を理由とする不利益取扱いの禁止が大幅に拡大されたこと、さらに個別紛争解決援助制度の対象事項が拡大したことが、施行後2年の間に労働者に浸透したことによるものと思われる。また、昨年11月下旬以降に雇用情勢が急激に悪化したことが、妊娠等を理由とする不利益取扱いの相談が増加した一因であると考えられる。
労働者からは、「セクシュアルハラスメントを受けたため会社の相談窓口に相談し、対応を求めたが、逆に不利益な配置転換をされた。」「セクシュアルハラスメントを受け、会社に適切な対応をするよう求めたが、行為者の処分が軽すぎて納得いかない。」「妊娠したことを上司に告げたところ、今まで契約更新がされていたにもかかわらず、経営状況の悪化を理由に雇い止めされた。」「つわりのため医師から短時間勤務をするよう指示されたが、事業主に短時間勤務をするならパートになるよう強要された。」などの相談が寄せられている。
〈図表4〉 東京労働局雇用均等室に寄せられた労働者からの相談状況の推移
2.均等法に基づく個別紛争解決援助の状況 〈援助事例は別添2、制度概要は別添3〉
(1) 労働局長による個別紛争解決援助の状況(均等法第17条に基づく援助)〈図表5〉
平成20年度における労働者からの均等取扱いに関する個別紛争解決援助の申立は、58件であり、前年度の約2倍になった。
内容をみると、「セクシュアルハラスメントに関するもの」が最も多く、29件の申立があり、前年度(14件)の約2倍と大幅に増加した。次に多い「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関するもの」の援助の申立については、前年度は13件と減少したものの、今年度は28件に増加している。
〈図表5〉 東京労働局長による個別紛争解決援助の状況(均等法第17条に基づく援助)
(2) 機会均等調停会議による調停の状況(均等法第18条に基づく調停) 〈図表6〉
平成20年度に受理した調停の申請は4件あり、機会均等調停会議において労使双方から事情聴取し、和解による解決を図っている。
〈図表6〉 機会均等調停会議による調停申請の状況(均等法第18条に基づく調停)
3 雇用均等室における是正指導の状況(均等法第29条に基づく報告徴収)
〈図表7、行政指導事例は別添2〉
平成20年度は、320事業場を対象に報告徴収を実施し、このうち均等法違反のあった261事業場に対し、676件の是正指導を行った。
指導事項としては、セクシュアルハラスメント対策に関するものが440件(65.1%)と、全体の約3分の2となっている。
東京労働局では、法違反事業場に対して均等法に沿った雇用管理を行うよう引き続き指導をしていくこととしている。
〈図表7〉 東京労働局雇用均等室における是正指導件数