労働局長による個別紛争解決の援助事例


《 妊娠したことを理由とする不利益取扱い事案(1) 》

  • 女性労働者からの申立て内容
     妊娠をしたこと及び育児休業取得希望がある旨上司に報告したところ、何度も退職を強要された。継続勤務し、産前産後休業、育児休業を取得したい。
  • 事業主からの聴取内容
     事業主から事情を聴取したところ、女性労働者が妊娠のため体調が悪く休みがちであり、遠距離通勤でもあることから、妊娠中の身体に何かあっては困ると思い、本人のためを思って退職勧奨をしたと主張した。
  • 労働局長の援助
     妊娠したことを理由に労働者に退職を強要することは均等法第9条により禁止されていることから、退職勧奨を撤回するよう助言した。
  • 結果
     事業主は退職勧奨を撤回し、今後も医師の指示があれば母性健康管理の措置を講ずること、法に基づき産前産後休業、育児休業を取得させることを約束し、紛争は解決した。

《 妊娠したことを理由とする不利益取扱い事案(2) 》

  • 女性労働者からの申立て内容
     育児休業中に事業主から復職させられない旨の連絡があり、退職勧奨された。妊娠中にも退職勧奨をされた経緯があるので、これは妊娠を理由とする不利益取扱いなのではないか。育児休業終了後、予定通り復職したい。
  • 事業主からの聴取内容
     事業主から事情を聴取したところ、育児休業中に退職勧奨したのは経営上の理由が大きいが、妊娠していなければそもそも退職勧奨をしなかったことを認めた。
  • 労働局長の援助
     事業主に対し、妊娠を理由として退職を強要することは均等法第9条により禁止されていることから、退職勧奨を撤回するよう助言した。
  • 結果
     事業主は退職勧奨を撤回したが、女性労働者が復職の意思を失ったため、事業主が女性労働者に解決金を支払うことで合意し、紛争は解決した。

機会均等調停会議による調停事例


《 セクシュアルハラスメントに関する事案 》

  • 女性労働者からの申請内容
     入社歓迎会の席で上司からセクハラを受け精神的な苦痛を受けたとして、事業主に対して行為者の処分や慰謝料の支払い等の対応を求めたが、事業主の対応に納得できないため、慰謝料等の支払いを求めたい。
  • 事業主の主張
     女性労働者からの相談を受け、行為者から事実確認を行ったが、行為者の記憶がなく、事実確認をすることができないことから行為者の処分が出来ないこと、精神的な苦痛については本件との因果関係が認められないため慰謝料等の支払いには応じられないと主張した。
  • 結果
     機会均等調停会議において、双方の主張を総合的に勘案した上で、申請者に対する解決金の支払についての調停案の受諾を勧告。双方が受諾した。

労働局長による行政指導事例


《 セクシュアルハラスメントに関する事案 》

  • 女性労働者の相談内容
     社内において、女性労働者に対して性的発言をする等、セクシュアルハラスメントをたびたび繰り返す者がおり、苦痛に感じている者が複数いる。社内に相談窓口がないため、上司を通じてセクシュアルハラスメントについて防止対策を講じるなどの環境整備を求めたが、何も対応がなされない。事業主に対する行政指導を希望する。
  • 事業主からの事情聴取
     一般的な相談窓口は設置されており、セクハラもその対象だが、原則として、問題がある場合はまず各所属長に相談し部署内で解決を図る仕組みとなっていることから、相談窓口について社内での積極的な周知がされていなかった。
     また、本件については部署内で問題が後回しになっていた。
  • 労働局長による行政指導
     上記を踏まえ、事業主に対し、均等法に定めるセクシュアルハラスメント対策を講ずるよう助言。
     事業主は、全労働者に向け、セクシュアルハラスメントの防止方針を表明し、相談窓口の周知を行い、各部門で相談に対して適切対応できているかチェックする仕組みを人事部に設けた。相談担当者については研修を行う等、法律に沿った措置を講じた。
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