賃金不払事案(申告事件)の処理状況の概要東京労働局(局長 東 明洋)は、管下18労働基準監督署・支署における平成20年(1月から12月)に受理した申告事件の中で取り扱った賃金不払事案(退職金不払事案を含む。)の処理状況の概要を以下のとおり取りまとめた。 1 法違反が認められた賃金不払事案は、労働者数及び金額ともに増加傾向(表1)
平成20年に受理した申告事件のうち、法違反が認められた賃金不払事案は、件数で3,699件(前年比3.5%減)、対象労働者数で7,079人(前年比4.3%増)、金額で37億7,204万円(前年比14.3%増)であった。 平成19年は対前年比で件数、労働者及び金額について大幅増加であったが、平成20年は、件数は減少したものの、労働者について増加、金額について大幅増加であった。 2 対象労働者数及び金額について、工業的業種で大幅増加、工業的業種で増加(表2)
対象労働数、金額ともに工業的業種の増加が著しい。 業種別に見た場合、件数で顕著な増加傾向が認められたのは、接客娯楽業99件増(16.1%増)、映画・演劇業6件増(25.0%増)であった。 対象労働者数で顕著な増加傾向が認められたのは、清掃・と畜業80人増(54.8%増)、建設業143人増(31.1増)であった。 金額で顕著な増加傾向が認められたのは、貨物取扱業409万円増(668.6%増)、建設業2億4,105万円増(81.3%増)であった。 一方、件数、対象労働数、金額のいずれも顕著な減少傾向が認められたのは保健衛生業であり、件数で28件減(17.9%減)、対象労働者数で326人減(62.6%減)、金額で4,829万円減(44.7%減)であった。 また、金額において運輸・交通業の5,487万円減(62.1%減)が顕著であった。 3 解決・救済された労働者の割合は約54%(表3)
労働基準監督署では、これら賃金不払事案を把握した場合には、行政指導により解決を図る。また、.会社が倒産等に至った場合には「未払賃金立替払制度」を迅速・的確に適用し、実質的救済を図っている。 平成20年の解決・救済件数は、2,135件、対象労働者数5,284人、金額で47億8,984万円であった。 なお、東京労働局では、重大・悪質な賃金不払事案については、労働基準法違反被疑事件として司法処分に付することとしており、平成20年の賃金不払事案の送検件数は、総送検件数(65件)の26.2%の17件であった。 |