東京労働局(局長 村木太郎)は、平成19年度の司法事件処理(管下18の労働基準監督署(支署)及び東京労働局特別司法班が労働基準法、労働安全衛生法等の違反被疑事件として検察庁へ送検したもの)の概要を以下のとおり取りまとめた。
1 概 要 |
(1) |
平成19年度の送検件数は75件で、18年度の94件を19件下回ることになった。違反内容別では、労働条件に関する送検事案が37件(49%)、安全衛生に関する送検事案が38件(51%)となっている。(別表1参照) |
(2) |
労働条件に関する事項では、「賃金・退職金不払」が16件と最も多く、送検件数全体の21%を占めている。また、「賃金不払残業」は3件である。 安全衛生に関する事項では、「機械等・墜落等の危険防止措置」が27件と最も多く、送検件数全体の36%を占めている。また、労働災害の発生を隠蔽する、いわゆる「労災かくし」は5件である。(別表2の(1)参照) |
(3) |
業種別では、建設業が30件(40%)と最も多く、次いで「その他の事業」が26件(35%)製造業7件(9%)となっている。(別表2の(2)参照) |
(4) |
端緒別では労働災害を端緒とするものが最も多く30件(40%)を占め、次いで「告訴・告発」によるもの26件(35%)であった。
「告訴・告発」を事項別にみると、「賃金・退職金不払」が10件(13%)、解雇が4件(5%)等となっている。
労働基準監督署による監督指導や労働者からの申告情報等を端緒とする送検事案は19件(25%)で、これらは再三の行政指導にも従わなかった事案や事態の悪質性から即時に司法処分としたものである。(別表2の(3)参照) |
2 送検事案にみる特徴 |
(1) |
依然として、労働災害の原因となる重大な「危険防止措置義務違反」の送検が多数認められること。特に、労働安全衛生法違反事件として送検した38件中墜落事件が25件と、安全衛生法違反被疑事件の実に66%を占め、また、全送検件数に対しても33%を占めている。
さらに、建設業にかかる送検件数に対する墜落災害は80%と、建設業における従来型災害が減少していないことを示している。
ビルメン業においては、ガラス清掃のためのブランコ作業による墜落災害が3件計上されている。 |
(2) |
近年、40%を占めていた告訴・告発事件は、平成19年度は減少しているが、それでも35%を数え、相対として増加傾向にあることに変わりはない。 |
(3) |
労災かくし事案については、平成19年度は5件と前年(8件)に比し減少しているが、中には同一事業場で繰り返して労災かくし事案で送検される事例がみられる。 |
3 平成20年度の方針 |
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東京労働局は、従来にも増して労働基準関係法令の履行確保を図るため厳正な態度で臨むこととしており、重大・悪質な事案に対してはこれを放置することなく積極的に司法処分を行う方針である。 |