1.概 要 |
(1) |
平成18年度の送検件数は94件で、17年度の93件を1件上回り2 年連続して90件を超える結果となった。違反内容別では、労働条件に関する送検事案が48件(51%)、安全衛生に関する送検事案が46件(49%)となっている。
(別表1参照)
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(2) |
労働条件に関する事項では、「賃金・退職金不払」が22件と最も多く、 前年度に比べ件数で5件、率にして29%増加した。また、「賃金不払残業」は8件で、前年に比べ3件減少したものの送検件数全体の9%を占めている。
安全衛生に関する事項では、「機械等・墜落等の危険防止措置」が29件 と最も多く、送検件数全体の31%を占めている。また、労働災害の発生を隠蔽する、いわゆる「労災かくし」は17年度と同数の8件で、依然として安全を軽視する悪質な事業主が認められる状況にある。(別表2の(1)参照)
なお、アスベスト関連としては、既存のビル解体に伴う措置義務違反な どで3件を送検した。(別添「送検事例」参照)
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(3) |
業種別では、「その他の事業」が44件(47%)と最も多く、次いで建 設業が33件(35%)、製造業9件(10%)となっている。(別表2の(2)参照)
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(4) |
端緒別では「告訴・告発」によるものが最も多く42件(45%)を占め、次いで労働災害を端緒とするものが32件(34%)であった。
「告訴・告発」を事項別にみると、「賃金・退職金不払」が15件、労働 条件の明示、就業規則の周知等の「その他」が11件、「賃金不払残業」が7件となっている。
労働基準監督署による監督指導や労働者からの申告情報等を端緒とする送検事案は20件(21%)で、これらは再三の行政指導にも従わなかった事案や事態の悪質性から即時に司法処分とした事案である。(別表2の(3)参照)
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2.送検事案にみる特徴 |
(1) |
依然として、労働災害の原因となる重大な「危険防止措置義務違反」の送検が多数認められること。
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(2) |
雇用・就業形態が多様化する中で、一部事業主において労働条件整備の立ち遅れが目立ち、一方、労働者の権利意識の向上ともあいまって結果として、労働基準法違反を中心とした告訴・告発事案が増加していること。
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(3) |
「賃金不払残業」、「労働基準監督官に対する虚偽報告」等で、強制捜査による証拠収集を要する事案が増加していること。
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3.平成19年度の方針 |
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東京労働局は、平成19年度においても引き続き労働基準関係法令の履行確保を図るため厳正な態度で臨むこととしており、重大・悪質な事案に対してはこれを放置することなく積極的に司法処分を行う方針である。 |