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担当 

総務部企画室

   室 長            石原 亘

   統括労働紛争調整官 岩出 順一

 

    電話 03-3512-1609 

   東京労働局標章.gif     

 厚生労働省

東京労働局発表

平成24年5月30日

 

平成23年度における個別労働紛争解決制度の施行状況

 

相談件数は高水準を維持、助言・指導の申し出、あっせんの申請件数は増加         

 

 

《概 要》

 

 東京労働局(局長 山田 亮)では「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づく個別労働紛争解決制度の運用を行っているが、平成23年度の施行状況は以下のとおりである。             

 (1) 総合労働相談件数

128,401件  

(0.7%減*)

 (2) 民事上の個別労働紛争相談件数

28,563件

 (4.7%減*)

 (3) 助言・指導申出受付件数

520件

(7.4%増*)

 (4) あっせん申請受理件数 

1,381件

(14.8%増*)

  [*増減率は平成22年度の実績との比較]

 (参考資料1  年度別個別労働紛争解決制度の利用状況の表1、図1、図2参照)

 

 (5) 民事上の個別労働紛争相談件数のうち、解雇、退職に関する相談件数が平成21年度をピークとして減少傾向に

    ある一方、いじめ・嫌がらせに関する相談件数は年々増加している。

 (参考資料2  個別労働紛争解決制度の利用状況の第3図参照)

 

 

 1 相談受付状況について

 

 平成23年度において、都内21か所の総合労働相談コーナーには、1年間で約13万件の労働相談が寄せられた。これらの相談の中で、労働関係法上の違反を伴わない民事上の個別労働紛争に関する相談は、28,000件強(22.2%)であった。

 民事上の個別労働紛争に関する相談の主な内容は、「解雇」に関するものが全体の24.3%を占めて最も多く、次いで「いじめ・嫌がらせ」に関するものが16.1%、「労働条件の引き下げ」に関するものが14.1%、「退職勧奨」に関するものが11.9%、「雇止め」に関するものが7.1%と続いている。

 (参考資料1及び参考資料2 個別労働紛争解決制度の利用状況の第2図参照)

 民事上の個別労働紛争に関する相談内容の内訳を平成22年度との比較でみると、「解雇」(2.3%減)、「労働条件の引き下げ」(11.0%減)、「雇止め」(3.0%減)と減少したのに対して、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は11.5%の大幅増となった。

 (参考資料2 個別労働紛争解決制度の利用状況の第3図、第6図参照)

 

 * いじめ・嫌がらせに関する相談の急増など、相談内容は複雑困難化の度を増してきていることから、東京労働局総合労働相談コーナー(千代田区九段南1-2-1九段第三合同庁舎14階)では、本年度から、特に困難な事案に対応する総合労働相談員を配置するなど、相談体制の充実を図っている。

 

 2 東京労働局長による助言・指導及び東京紛争調整委員会によるあっせんの運用状況について 

 

 相談によっても、紛争の自主的解決に至らなかった事案については、民事上の労使間個別労働紛争の解決を図るための裁判外紛争処理制度として、

 (1) 東京労働局長が助言・指導を行う制度

 (2) 東京紛争調整委員会があっせんを行う制度

を運用しているところであるが、この制度の利用状況は以下のとおりである。

 

 (1) 東京労働局長による助言・指導

 平成23年4月からの1年間に、労働局長の助言・指導の申し出があったものは520件で、平成22年度に比較し7.4%の増加となった。同期間に助言・指導の手続きを終了したものは、前年度からの繰り越し分を含めて523件であった。

 このうち、労働局長が助言・指導を実施したものは465件であった。(残余は取下げ、打切りなどとなったものである。)

 助言・指導の申出内容についてみると、いじめ・嫌がらせが106件で20.4%と最も多く、続いて解雇(普通解雇、整理解雇、懲戒解雇)に関するものが98件18.8%、退職勧奨が57件で11.0%、労働条件の引下げが53件で10.2%、雇止めが42件で8.1%となっている。

 (参考資料1及び参考資料2 個別労働紛争解決制度の利用状況の第7図参照)

 

 (2) 東京紛争調整委員会によるあっせん

 平成23年度に紛争調整委員会によるあっせんの申請があったものは1,381件で、平成22年度と比較して14.8%の増加となった。

 あっせん処理については、前年度からの繰り越し分を含めて、平成23年度にあっせんの手続きを終了したものは1,335件、このうち、あっせん不参加462件、あっせん取下げ61件を除いた812件について、実際に紛争調整委員会によるあっせんを実施した。

 あっせんにより、当事者間の合意が成立したものは547件で、合意に至った割合は67.4%であった(残余は打切りとなったものである)。なお、あっせんの手続きを終了したもの全体に占める合意成立の割合は41.0%となる。

 あっせん申請の内容についてみると、解雇に関するものが最も多く全体の41.4%を占め、次いで、いじめ・嫌がらせに関するものが14.6%、雇止めに関するものが11.2%、退職勧奨に関するものが7.7%と続いている。

 (参考資料1及び参考資料2 個別労働紛争解決制度の利用状況の第8図参照)                      

 あっせん内容の典型的な事例としては、解雇、雇止め及びいじめ・嫌がらせに対して労働者が損害賠償を求めるものが挙げられ、金銭的な和解や謝罪等を含む合意が成立している。

 なお、助言・指導、あっせんの具体的な事例は参考資料3のとおりである。

 

 

 

 参考資料1.bmp

 

 個別労働紛争解決制度の利用状況(参考資料2)

 (平成23年4月~平成24年3月)

 

 

 第1図 総合労働相談の内容

 第1図.bmp

 

 ※ 総合労働相談件数128,401件について相談内容別に整理したもので、1件の相談について複数の項目がある。

 

 第2図 個別労働紛争相談内容の内訳

第2図.bmp

 

 

 

 第3図 個別労働紛争相談の内容(平成19年度~平成23年度)

 

第3図.bmp 

 

 

 

 

 平成22年度と平成23年度の相談件数比較

 

 第4図.bmp

 第5図.bmp

 

 第6図.bmp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第7図 労働局長の助言・指導の申出内容の内訳

 

第7図.bmp

 

 ○ 東京労働局長による助言・指導の状況

 

 (1) 助言・指導の申出の受付件数    520件

 ≪紛争の内容≫

 普通解雇 76件
 整理解雇  10件
 懲戒解雇  12件
 その他の労働条件  50件
 労働条件の引下げ  53件
 退職勧奨  57件
 いじめ・嫌がらせ  106件
 雇止め  42件
 出向・配置転換  33件
 自己都合退職  5件
 その他  76件
  

 

 (2) 助言・指導の手続を終了した件数    523件

 ≪終了の区分≫

 助言を実施

465件

 文書指導の実施  0件
 取下げ  37件
 打切り(助言・指導すべきと判断されないもの)  12件
 制度対象外事案・その他  9件

 

 

 第8図 あっせん申請の内容

 

 第8図.bmp 

 

 

 ○ 東京紛争調整委員会によるあっせんの状況

  

 (1) あっせんの申請の受理件数     1,381件

 ≪紛争の内容≫ 

 普通解雇

416件

 整理解雇  119件
 懲戒解雇  37件
 いじめ・嫌がらせ  202件
 その他の労働条件  28件
 労働条件の引下げ  74件
 退職勧奨  106件
 雇止め  155件
 採用内定取消  47件
 出向・配置転換  36件
 その他  161件

 

 

 (2)あっせん手続きを開始した件数   1,373件

 

 

 (3)あっせんの手続を終了した件数   1,335件

 あっせん不参加の件数

462件

 あっせん取下げ等の件数  61件
 実際にあっせんを実施した件数  812件

 

 ≪終了の区分≫

 当事者間の合意が成立したもの

547件

 合意不成立により打切りとなったもの  265件
 

 

 助言・指導、あっせんの具体的事例 (参考資料3) 

 

 

(助言・指導事案1)

雇止め

○ 事案の概要

 10年以上パート事務員として勤務してきたが、事業の一部を廃止することに伴う業務量減少を理由に、当初は時短勤務となる旨の話があり、その後期間満了で雇止めとなることを通告された。そのため何度か会社に説明を求めたが、納得のいく説明はなかった。この不当な雇止めを撤回し契約の更新をすることを求める。

(事務代行業)

○ 助言・指導の内容

 契約更新時における手続の厳格性の程度、反復更新の回数、雇用期間の通算期間等、雇止めについて争われた裁判例に見る雇止めの可否の判断要素を説明し、雇止めには、これらを考慮した正当な理由が必要であることを助言。

○ 結 果

 会社は、社内で検討を行ったが申出人たる労働者に行わせる業務がないこと、他のパートスタッフも削減しており他部署にも空きがなく雇止めの撤回はできないが、慰労金を支払うことで合意解決をしたいと主張。最終的に、会社が6ヶ月分の慰労金を労働者に支払うことで話合いがまとまり解決した。

 

 

(助言・指導事案2)

いじめ・嫌がらせ

○ 事案の概要

 長年にわたり正社員として集配業務を行ってきたが、2年ほど前から上司に取り囲まれ問責される、侮辱する文書を机の中に入れられるなどのいじめを受けて精神的に参っている。このいじめが無くなるよう職場環境を改善することを求める。

(貨物取扱業)

○ 助言・指導の内容

 職場におけるいじめの違法性の判断基準等について説明を行い、申出人が精神的にダメージを負っていることについての配慮も必要であることを助言。また、会社は職場環境配慮義務を負っていることも説明、これらを踏まえた対応が必要であることを重ねて助言。

○ 結 果

 会社は、いじめではなく業務上必要な注意に過ぎないと主張したが、申出人に対しては、個人攻撃を目的としたいじめではないことを十分に説明し理解を得ることとし、また、再発防止のための啓発文書を出すなど職場環境の改善も行うこととなった。

 

 

(あっせん事案1)

 普通解雇

○ 事案の概要

 平成14年に入社し、営業職として勤務していた。平成22年に定年となったが、新たに会社と1年間の雇用契約を結び働いていたところ、8ヶ月後に突然契約期間途中での雇用契約の終了を通告された。契約期間の途中での突然の解雇であるので、経済的損失と精神的な苦痛に対する補償金として、解約期間の残り4ヶ月分の賃金相当額及び在籍していれば支払われたはずの賞与額相当額を合わせた額の補償金の支払いを求める。(派遣業)。

○ あっせんのポイント

 会社側は申請人の営業成績の不振とそれを挽回しようという意欲がないと認めたので契約期間の途中ではあったが契約を打ち切った。1ヶ月前に予告しているので手続きに問題はないと考えているが、解決のためなら1ヶ月分の賃金相当額を支払うと主張。しかし、申請人は会社の提案金額を受け入れないと主張。委員は有期雇用契約であるので契約期間の途中での解雇にはやむを得ない事由が必要であることを会社に指摘、解決金額の譲歩を促した。

○ 結 果

 あっせんの結果、会社側が解決金額について譲歩を示し、解決金として1ヶ月半分の賃金相当額を支払うことで合意した。

 

 

(あっせん事案2)

 いじめ・嫌がらせ

○ 事案の概要

 大学新卒として、本年4月に正社員として入社。数ヶ月間の研修を経てSEとして契約先の企業に派遣される予定であった。入社後まもなく、就業時間後に上司に呼び出され、「やる気がない。」、「この仕事に向いていない。」など強圧的に言われた。この言葉の暴力のため、体調を崩し通院し適応障害と診断され、2ヶ月間の休職に入っている。復職は困難と考えているので、退職を前提に経済的補償として、1年分の賃金相当額の支払いを求める。(コンピュータソフトの開発業)

○ あっせんのポイント

会社側は、申請人に元気がないことを心配して面談の場を設けたが、それをいじめ・嫌がらせと誤解されたものと主張。あっせん委員は、いじめ・嫌がらせかどうかの判断はしないが、申請人が通院するほど心理的に追い詰められたと思われるので、解決を先延ばしせずに金銭で解決することを提案した。

○ 結 果

あっせんの結果、申請人が退職することを条件に、解決金として3ヶ月分の賃金相当額を支払うことで合意した。

 

個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の概要

 

1 趣旨

 企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という。)が増加していることにかんがみ、これらの紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、都道府県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の創設等により総合的な個別労働紛争解決システムの整備を図る。

 

2 概要

(1) 紛争の自主的解決

 個別労働関係紛争が生じたときは、紛争の当事者は、自主的な解決を図るように努めなければならないものとする。

(2) 都道府県労働局長による情報提供、相談等

 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争の未然防止及び自主的な解決の促進のため、労働者又は事業主に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。

(3) 都道府県労働局長による助言及び指導

 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争に関し、当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができるものとする。

(4) 紛争調整委員会によるあっせん

 イ 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争について、当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において、当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。

 ロ 都道府県労働局に、紛争調整委員会を置くものとする。

 ハ あっせん委員は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならないものとする。

 ニ あっせん委員は、当事者等から意見を聴取し、事件の解決に必要なあっせん案を作成し、これを当事者に提示することができるものとする。

(5) 地方公共団体の施策等

 地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、労働者又は事業主に対し、情報提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとし、国は、地方公共団体の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。 

 また、当該施策として都道府県労働委員会が行う場合には、中央労働委員会が、当該都道府県労働委員会に対し、必要な助言又は指導をすることができるものとする。

 

 

 

個別労働紛争解決システム.bmp

 

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