(参考資料3)

助言・指導の事例

〈採用内定取り消しに関する事案〉
事案の概要
 申出人は、ハローワークの紹介により、看護師の求人に応募。希望する条件は、看護学校に通いながら、勤務することであり、事前に事業主の了解を取り面接の日時を設定した。面接当日は、宿舎の下見をさせてもらい、当日に採用の内定をもらった。一旦郷里に帰り、身支度をしていたところ、翌日になって、事業主から連絡があり、「今回のことは、なかったことにしてほしい。理由は看護学校に通学せずに勤務できる人が、欲しかった」とのこと。
 このことは、すでに、了解されている問題であり、この理由による、内定の取り消しはおかしいと主張し、内定取り消しの撤回を求めて、助言・指導を申し出たもの。(病院)

助言指導の内容
 事業主は、全面的に非を認めているものの、内定取り消しの撤回については、応じなかった。地方から出てきたことなどから、交通費を含めた経済的損害について考慮する余地を含めて検討するよう助言。

結 果
 事業主は、検討の結果、交通費及び慰謝料を含めて5万円を支払い解決した。

〈労働条件引き下げに関する事案〉
事案の概要
 工業製品の輸入販売を行う会社に勤務していたが、採用され1年経過して、仕事の能力が欠けるとの理由から、配置転換されるとともに、賃金を一方的に5万円下げられた。申出人は、一方的な労働条件引下げは、納得できないとして、助言・指導を申出たもの。(輸入販売業)

助言指導の内容
 事業主は、日ごろの仕事振りが会社の思うレベルに至っていないこと、また、他の社員との均衡も取れないとして、再三、指導した後、改善の余地が見られないため、労働条件を引き下げたと主張した。しかし、労働条件の不利益変更は、労働者に対して事前に説明し同意を求めるべきものであり、引き下げについて、合理的理由が必要になる旨説明し労働者とよく話し合うよう助言した。

結 果
 事業主は、労働者を従前の労働条件に戻し、雇用契約を更新することで円満に解決した。

〈解雇に関する事案〉
事案の概要
 金属加工の会社に10年間勤務していたが、ある日、勤務中に同僚社員と口論の末トラブルになり、暴力を振るったこと及び製品に傷をつけたことを理由として、懲戒解雇処分となった。大声を出したことは認めるが、事実無根の内容であり、懲戒処分を撤回し、普通解雇にすることを求めたいとして助言・指導を申出た。(製造業)

助言指導の内容
 事業主は、現場の社員の話を聞き処分に及んだものであるが、被害者といわれる社員が、暴力を振るわれたことに対して、あいまいな態度をとっていること。
  また、傷ついたとされる製品がすでに商品として出荷されており、就業規則の規定に該当する懲戒事由が間違いなくあったと言える確かな証拠がないことなどから、懲戒処分の撤回について、再考を促した。

結 果
 事業主は懲戒解雇を撤回し、普通解雇とし解決した。




あっせんの事例

〈いじめ・嫌がらせに関する事案〉
事案の概要
 申請人は、建築現場の責任者として勤務していたが、責任者として会社の指示に従わないことを理由に、配属を変更されるとともに、仕事を与えられずに、事務所の清掃や駐車場の草むしりをさせられるなど、屈辱的な日々を送らされた。まさしく「いじめ・嫌がらせ」であり、精神的な慰謝料として損害賠償金500万円の支払を求めたもの。(建築業)

あっせんのポイント
 事業主は、あくまで業務上の指示に従わなかったことについての配置転換であることを主張したが、管理職を解き、配置転換により事務所の清掃及び草むしりを行わせたことは認めた。知識・経験・能力と適正に相応しい処遇を受ける権利があることを説明し、事業主にあっせんで解決するよう譲歩を求めた。

結 果
あっせんの結果、事業主は解決金として100万円を支払うことで合意した。

〈労働条件変更に関する事案〉
事案の概要
 申請人は、業績悪化及び業務評価が低いとのことで、給与約15万円、賞与が50万円引き下げられるなど、労働条件を大きく引き下げられ、就労意欲をなくして退職に追い込まれた。退職強要による精神的苦痛に対する慰謝料・再就職までの経済的損害に対する補償金として、2ヵ月分に相当する90万円の支払いを求めたもの。(経営コンサルティング業)

あっせんのポイント
 事業主は、申請人の業務評価及び経営赤字など、合理的な理由から労働上を引き下げた旨主張したが、あっせん委員から、労働条件の変更は一方的なものであり、労働者が納得できるものではないとの指摘がなされ、解決金の支払いについて検討するよう求めた。

結 果
 あっせんの結果、事業主が解決金として65万円を支払うことで合意した。

〈解雇に関する事案〉
事案の概要
 申請人は、測量会社の事務員として採用されたが、その際、夫が同業他社に勤務していることは、社長に伝えていた。しかし、入社二日目に社長から会社の情報を夫に漏洩する恐れがあることを理由に解雇された。解雇理由が不当であり、精神的・経済的損害に対する賠償として70万円の支払いを求めた。

あっせんのポイント
 事業主は、申請人を採用する際、夫が同業他社にいることが、会社にとってプラスになるものと判断したものであるが、同僚とのコミュニケーションを図る上で、そのことがかえって阻害要因となったものである。本件については、事業主に全面的な不手際があったことを認めた。

結 果
 あっせんの結果、事業主は早期解決を決断し、解決金として給料70万円を支払うことで合意した。



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