東京労働局発表
平成20年10月27日





東京労働局 労働基準部 監督課
監 督 課 長   加藤 博人
監 察 監 督 官   古屋 希子
電 話  03-3512-1612(内線 6410)
FAX  03-3512-1556
都内213企業が35億円を遡及支払い
-監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成19年度)-


 東京労働局(局長 東 明洋 )では,平成19年4月から本年3月までの1年間に,管下18労働基準監督署(支署)において,時間外労働(残業)等に対する割増賃金が適正に支払われていない企業に対し,労働基準法第37条違反としてその是正を勧告・指導し,その結果,差額支払い額が100万円以上になった企業を対象とし,支払い等の状況を取りまとめた。
 概要は,別添のとおりであり,未払いの割増賃金を100万円以上支払った企業は213社,支払額の総額は34億8,292万円となった。
 賃金不払残業の解消については,これまでも労働基準行政の重点課題として取り組んできたところであるが,今回の取りまとめ結果から,依然として,賃金不払残業が多数みられることが明らかとなった。
 こうした状況を踏まえ,東京労働局では,引き続き、賃金不払残業を減少させるための重点的な監督指導を実施するとともに,本年11月に実施する予定の「労働時間適正化キャンペーン月間」においては,長時間労働の抑制、過重労働による健康障害の防止とともに,賃金不払残業の解消に向けた労使の自主的な取組の促進を図るための周知・啓発活動を一層推進することとしている。

1 対象事案

 平成19年4月1日から平成20年3月末日までの1年間に,管下18労働基準監督(支署)が監督指導を行い,賃金不払残業の是正を勧告・指導した結果,不払いとなっていた割増賃金の支払いが行われたもののうち,1事案当たりの支払額が100万円以上となったものをとりまとめた。



2  割増賃金の是正支払状況

1 企業数,支払額など(第1表参照)


 企業数は213企業,対象労働者数は38,229人,割増賃金の支払額は,34億8,292万円であった。また,1企業平均支払金額は1,635万円,労働者1人平均支払金額は9.1万円であった。




2 業種別の状況(第2表参照)


 213企業を業種別にみると,企業数(68社),支払対象労働者数(14,470人),支払額(15億5,553万円)とも、商業が最も多くなっていた。




3 1企業で支払額が1億円を超えた事案(第3表参照)


1企業での最高支払額は,3億7,700万円(商業),次いで3億1,500万円(商業),1億8,371万円(金融・広告業)の順であった。
これらを含めて,1企業で支払額が1億円を超えたものは8件であった。


表1表 対象企業数,労働者数,支払金額等


単位;件・人・万円
年度
企業数
対象労働者数
支払金額
(万円)
1人平均支払金額
(万円)
企業平均支払金額
(万円)
16年度
183
45,330
673,399
14.9
3,680

17年度

165
29,557
390,866
13.2
2,369
18年度
185
32,124
377,575
11.8
2,041
19年度
213
38,229
348,292
9.1
1,635


注1:1人平均支払金額は,小数点第2位(百円の桁)で四捨五入
注2:支払金額及び企業平均支払金額は,小数点第1位(千円の桁)で四捨五入


第2表 業種別の対象企業数,労働者数,支払金額等

単位;件・人・万円


企業数
対象労働者数
支払金額
(万円)
1人平均支払金額
(万円)
製造業
17
851
7,536
8.9
建設業
10
1,976
26,351
13.3
運輸交通業
8
192
2,507
13.1
貨物取扱業
1
1
400
400.0
商業
68
14,470
155,553
10.8
金融・広告業
19
12,767
64,205
5.0
映画・演劇業
1
2
113
56.5
教育・研究業
20
2,017
28,994
14.4
保健衛生業
13
1,164
5,044
4.3
接客娯楽業
6
218
3,648
16.7
清掃・と畜業
4
24
689
28.7
その他の事業
46
4,547
53,252
11.7
合計
213
38,229
348,292
9.1


注1:1人平均支払金額は,小数点第2位(百円の桁)で四捨五入
注2:支払金額は,小数点第1位(千円の桁)で四捨五入



第3表 1企業で支払額が1億円を超えた主な事案


業種
事案の概要
遡及是正額
(万円)
商業 時間外労働の割増賃金の一部について賃金支払日に支払うことなく、代休の取得によって精算していたため、当該代休が取得されない場合に時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。
31,500
商業 営業職に対し、基本給に定率を乗じた営業手当を時間外労働の割増賃金のかわりとして支払っていたが、実労働時間をもって時間外労働の割増賃金を算出した場合に、営業手当では不足が生じていたもの。
16,481
金融・広告業 自己申告制により労働時間を把握し、同時間により時間外労働の割増賃金を支払っていたが、実労働時間を調査した結果、自己申告により把握した労働時間を上回っており、時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。
18,371
教育・研究業 自己申告制により労働時間を把握し、同時間により時間外労働の割増賃金を支払っていたが、別途IDカードにて把握していた入退出時刻と自己申告時間が乖離していたため、実労働時間を調査した結果、自己申告により把握した労働時間を上回っており、時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。
13,500




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