東京労働局発表
平成20年10月7日(火)





職業安定部 職業対策課
課  長  髙野 栄一
課長補佐  辻  雄史
電 話3512-1663(直通)
FAX3512-1566
~ 65歳までの雇用確保措置
      東京局での実施率96%を超える! ~
 定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況については、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「法」という。)に基づき、事業主は、毎年6月1日現在の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされている。
  東京労働局では、今般、平成20年6月1日現在の同報告を集計し、その結果を取りまとめたので、公表する。

《ポイント》
1 高年齢者雇用確保措置の実施状況

~ 大企業の雇用確保措置の導入率99.9% ~

平成20年6月1日現在、51人以上規模の企業(注1)のうち、高年齢者雇用確保措置(注2)の実施企業の割合は、96.2%と前年比4.9ポイント増加。
うち、中小企業(注3)は94.9%(前年比5.7ポイント増)。
   大企業(注4)は99.9%(前年比2.7ポイント増)。

希望者全員が65歳以上まで働ける企業(注5)の割合は29.8%(前年比2.9ポイント増)。

70歳までの雇用確保措置を実施した企業(注6)の割合は11.3%(前年比0.2ポイント増)。

2 雇用確保措置の義務化後の高年齢労働者の動向

~ 高年齢者の常用労働者数が大幅に増加 ~

雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、


60~64歳の常用労働者数は約230千人から約402千人に増加(74.8%増)。


65歳以上の常用労働者数は約72千人から約142千人に増加(98.2%増)。

~ 定年到達者のうち継続雇用される者が大幅に増加 ~

雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、定年到達予定者のうち継続して雇用される予定の者の数(割合)は約31千人(39.4%)から約97千人(72.1%)に、約66千人増加(32.7ポイント増)。

3 今後の取組

65歳までの雇用確保措置の確実な実施のため、引き続き51人以上規模の未実施企業に対して強力に指導を行うほか、今後は、50人以下規模の企業に対して重点的に指導を実施する。

少子・高齢化の進行、将来の労働力人口の減少等の状況を踏まえ、「70歳まで働ける企業」の普及・啓発に取り組む。

(注1) 法第52条第1項により、事業主は、毎年、6月1日現在の定年及び継続雇用制度の状況等を厚生労働大臣に報告することとされており、今般、当該報告を提出した51人以上規模の企業18,405社について、高年齢者雇用確保措置の実施状況を集計(うち中小企業(51人~300人規模)は13,761社、大企業(301人以上規模)は4,644社)。
(注2) 事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用の確保のため、定年の定めの廃止、定年の引上げ、継続雇用制度の導入(「高年齢者雇用確保措置」)のいずれかの措置を講じなければならない(法第9条第1項)。なお、定年の引上げ、継続雇用制度の義務年齢は、年金の支給開始年齢の引上げに合わせて、平成25年4月までに段階的に引上げ(現在は、63歳)。
(注3) 中小企業とは51人~300人規模の企業。
(注4) 大企業とは301人以上規模の企業。
(注5) 定年の定めの廃止、65歳以上定年、希望者全員65歳以上継続雇用の企業。
(注6) 定年の定めの廃止、70歳以上定年、希望者全員70歳以上・基準該当者70歳以上継続雇用の企業。


1 高年齢者雇用確保措置の実施状況

(1)全体の状況


 高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」という。)の実施済企業の割合は96.2%(17,704社)、前年比4.9ポイントの増加となっている。
  一方、雇用確保措置を未実施である企業の割合は3.8%(701社)、前年比4.9ポイントの減少となっている。
  このように、企業における雇用確保措置は着実に進展している(別紙表1)。


(2)企業規模別の状況


 雇用確保措置の実施済企業の割合を企業規模別に見ると、大企業では99.9%(4,643社)、前年比2.7ポイントの増加、中小企業では94.9%(13,061社)、前年比5.7ポイントの増加となっており、大企業のほとんどが雇用確保措置を実施し、また、中小企業の実施状況も着実に進展している(別紙表2)。
雇用確保措置を実施した企業の割合


(3)雇用確保措置の上限年齢


 雇用確保措置の上限年齢については、雇用確保措置の実施済企業のうち、現在の義務年齢である63歳又は64歳を上限年齢とした企業は22.3%(3,942社)となる一方、法の義務化スケジュールより前倒しして65歳以上を上限年齢とした企業(定年の定めのない企業を含む。)は77.7%(13,762社)、前年比2.4ポイントの増加となっている(別紙表3-1)。
雇用確保措置の上限年齢
(平成18年度は62~64歳)


(4)雇用確保措置の内訳


 雇用確保措置の実施済企業のうち、「定年の定めの廃止」の措置を講じた企業は2.1%(374社)、「定年の引上げ」の措置を講じた企業は12.2%(2,155社)、「継続雇用制度の導入」の措置を講じた企業は85.7%(15,175社)となっている(別紙表3-2)。
雇用確保措置の内訳


(5)継続雇用制度の内訳


 継続雇用制度を導入した企業(15,175社)のうち、希望者全員の継続雇用制度を導入した企業は26.9%(4,082社)、対象者となる高年齢者に係る基準を労使協定で定め、当該基準に基づく継続雇用制度を導入した企業は52.7%(7,990社)、労使協定の締結に向けて努力したにもかかわらず協議が調わず、法に基づく特例措置により就業規則等で基準を定め、当該基準に基づく継続雇用制度を導入した企業は20.4%(3,103社)となっている(別紙表3-3)。
継続雇用制度の内訳


(6)希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合


 希望者全員が65歳以上まで働ける企業(定年の定めの廃止、65歳以上定年、希望者全員65歳以上継続雇用制度の導入のいずれかを実施)の割合(全企業中)は29.8%(5,481社)、前年比2.9ポイントの増加となっている。
  企業規模別に見ると、中小企業では33.8%(前年比3.2ポイント増加)、大企業では17.9%(前年比1.3ポイント増加)となっている(別紙表4)。


(7) 「70歳までの雇用確保措置を実施した企業」の割合


 「70歳まで働ける企業」(定年の定めの廃止、70歳以上定年、希望者全員70歳以上・基準該当者70歳以上継続雇用制度の導入のいずれかを実施)の割合(全企業中)は11.3%(2,075社)、前年比0.2ポイントの増加となっている。
  企業規模別に見ると、中小企業では12.9%(前年比0.2ポイント増加)、大企業では6.5%(前年比0.1ポイント減少)となっている(別紙表5)。

2 雇用確保措置の義務化後の高年齢労働者の動向

(1)常用労働者数の推移


雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、


60歳~64歳の常用労働者数は230千人から402千人へ172千人の増加(74.8%の増加)


65歳以上の常用労働者数は72千人から142千人へ70千人の増加(98.2%の増加)と、大幅に増加している(別紙表6)。
年齢別常用労働者数


(2)定年到達予定者に占める継続雇用予定者の状況


 雇用確保措置の義務化前(平成17年)と比較して、定年到達予定者のうち継続雇用される予定の者の占める者の数(割合)は31千人(39.4%)から97千人(72.1%)へ、66千人の増加(32.7ポイントの増加)となっている(別紙表7)。

3 今後の取組

(1)65歳までの雇用確保措置の確実な実施


1 雇用確保措置未実施企業に対する指導の実施



 本年6月1日時点の高年齢者雇用状況報告によると、51人以上の規模の企業における雇用確保措置は着実に進展しているが、未実施企業が701社あることから、引き続き、東京労働局、ハローワークの幹部等による個別指導を強力に実施し、早期解消を図るとともに、今後は、特に50人以下規模の企業に対して、重点的に集団指導や個別指導を行うとともに、雇用確保措置の導入に向けた取組を行う事業主団体に対する奨励金の活用促進等を通じて、雇用確保措置の実施を図る。


2 雇用確保措置の充実



 上記の雇用確保措置の実施に係る指導に加えて、勤務時間の多様化、職域拡大、処遇改善等を通じて、希望者全員の65歳までの継続雇用、定年の引上げ、定年の定めの廃止といった雇用確保措置の充実に取り組んでいくよう、企業に積極的に働きかけを行う。


(2)「70歳まで働ける企業」の普及・啓発


 少子・高齢化の進行、将来の労働力人口の減少、団塊世代の60歳の定年年齢への到達等を踏まえ、高年齢者が意欲と能力のある限りいくつになっても働ける社会の実現に向け、事業主団体等による70歳までの高年齢者の一層の雇用に向けた取組の支援、70歳以上の定年への引上げ等に係る「定年引上げ等奨励金」の積極的な活用についての企業への働きかけ等により、「70歳まで働ける企業」の普及・啓発に取り組む。


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