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対象事案 |
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平成18年4月1日から平成19年3月末日までの1年間に,管下18労働基準監督(支署)が監督指導を行い,賃金不払残業の是正を勧告・指導した結果,不払いとなっていた割増賃金の支払いが行われたもののうち,1事案当たりの支払額が100万円以上となったものをとりまとめた。 |
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割増賃金の是正支払状況 |
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企業数,支払額など(第1表参照) |
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企業数は185企業,対象労働者数は32,124人,割増賃金の支払額は,37億7,575万円であった。また,1企業平均支払金額は2,041万円,労働者1人平均支払金額は11.8万円であった。 |
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業種別の業況(第2表参照) |
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185企業を業種別にみると,企業数では商業が最も多く(52社),支払対象労働者数では金融・広告業(10,193人),支払額では金融・広告業(13億1,874万円)が最も多くなっている。 |
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1企業で支払額が1億円を超えた事案(第3表参照) |
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1企業での最高支払額は,2億7,474万円,次いで1億7,242万円,1億6,823万円の順で,いずれも金融・広告業であった。
これらを含めて,1企業で支払額が1億円を超えたものは9件であった。 |
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参考1 労働条件及び賃金不払残業に係る投書件数
参考2 監督指導を契機に労使が協力して賃金不払残業解消に取組んだ事例
賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準
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単位;件・人・万円
年度 |
企業数
件 |
対象労働者数
人 |
支払金額
(万円) |
1人平均支払金額
(万円) |
企業平均支払金額
(万円) |
15年度 |
180 |
61,382 |
421,080 |
6.9 |
2,339 |
16年度 |
183 |
45,330 |
673,399 |
14.9 |
3,680 |
17年度 |
165 |
29,557 |
390,866 |
13.2 |
2,369 |
18年度 |
185 |
32,124 |
377,575 |
11.8 |
2,041 |
注1: |
1人平均支払金額は,小数点第2位(百円の桁)で四捨五入 |
注2: |
支払金額及び企業平均支払金額は,小数点第1位(千円の桁)で四捨五入 |
単位;件・人・万円
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企業数
件 |
対象労働者数
人 |
支払金額
(万円) |
1人平均支払金額
(万円) |
製造業 |
18 |
1,675 |
1,3773 |
8.2 |
建設業 |
21 |
1,887 |
3,5761 |
19 |
交通運輸業 |
2 |
80 |
301 |
3.8 |
商業 |
52 |
8,259 |
98,698 |
12 |
金融・広告業 |
30 |
10,193 |
131,874 |
12.9 |
映画・演劇業 |
2 |
44 |
1,040 |
23.6 |
教育・研究業 |
10 |
4,152 |
20,147 |
4.9 |
保健衛生業 |
8 |
742 |
2,107 |
2.8 |
接客娯楽業 |
12 |
920 |
28,128 |
30.6 |
清掃・と畜業 |
2 |
96 |
1,153 |
12 |
その他の事業 |
28 |
4,076 |
44,593 |
10.9 |
合計 |
185 |
32,124 |
377,575 |
11.8 |
注1: |
1人平均支払金額は,小数点第2位(百円の桁)で四捨五入 |
注2: |
支払金額は,小数点第1位(千円の桁)で四捨五入 |
業種 |
事案の概要 |
遡及是正額
(万円) |
金融・広告業 |
出,退勤時刻の記録がなく,出社記録のみによる管理を行っていたもの。 |
27,474 |
金融・広告業 |
自己申告制による時間外労働の申請が,実態と乖離していたもの。 |
17,242 |
接客娯楽業 |
割増賃金について割増賃金単価を低く設定し,支払にも上限を設けていたもの。 |
16,598 |
その他の事業 |
勤務管理システムの入力に際し,時間外労働時間の上限設定が行われていたもの。461人について不足分を遡及して支払った。 |
16,111 |
その他の事業 |
所定休日に労働させ,自己申告がないとして賃金を支払っていなかったもの。 |
15,623 |
商業 |
割増賃金が予算の範囲内しか支払われていなかったもの。 |
13,624 |
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年度
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労働条件に係る投書の件数
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うち、賃金不払残業に係る内容を含むもの
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÷ 賃金不払残業比率(%)
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15年度
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1,588
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918
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57.8
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16年度
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2,497
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1,494
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59.8
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17年度
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2,657
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1,481
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55.7
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18年度
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2,666
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1,501
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56.3
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参考2 監督指導を契機に労使が協力して賃金不払残業解消に取組んだ事例
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問題点
上司からの指示により,時間外労働が月12.5時間あるいは30時間になるよう自己申告させられていた。
改善の取組
労働組合と協議し,客観的なデータを基に,従業員の労働時間を再計算し,差額の遡及支払を行うとともに,労働時間管理のための新たな就業管理システムの導入を行った。
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問題点
一部の労働者に賃金不払残業が認められたこと,また許可無く宿日直を行っており,当該拘束時間が労働時間と評価されていなかった。
改善の取組
差額支給を行うとともに,長時間労働の改善のために労使が所定時間外労働時間の削減及び年次有給休暇の取得促進のための対策を策定・実施していくことの合意が成立した。
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問題点
タイムカードによる管理がなされていたが,不正な打刻が行われており,賃金不払残業が発生していた。
改善の取組
労働組合と協議の上,労働時間管理推進委員会を新設し,労使共同で,労働時間管理体制を再度徹底することとした。
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