1 労働基準の分野における重点対策 |
(1) |
労働条件の確保・改善等 |
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労働者の法定労働条件の確保のため、就業規則の適正な作成と変更等による基本的な労働条件の枠組の確立・定着、労働時間管理の適正化、健康管理の充実を図る。中でも不適切な労働時間管理等による賃金不払残業や過長な時間外労働が依然として認められることから、引き続き、監督指導等を実施するとともに、関係指針の周知による労使の自主的な取組の促進を図る。裁量労働制については、同制度の趣旨に適合した上で、導入・運用されるよう、周知指導を行う。
また、最低賃金制度については、適正な運営を図る。
さらに、製造業を中心に偽装請負などの問題が認められることから、労働基準関係法令に基づく指導を行うとともに、需給調整事業部と連携した対応を行う。 |
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(2) |
多様な働き方が可能となる労働環境の整備 |
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労働時間等設定改善法に基づき、設定改善に向けた労使による自主的取組を促進するため、労働時間等設定改善指針及び東京(関東甲信越ブロック)仕事と生活の調和推進会議が策定した「仕事と生活の調和推進プログラム」の周知を図る。 |
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(3) |
労働者の安全と健康の確保対策 |
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10次防の最終年度である平成19年度は、「死亡災害の20%の減少」を始めとした計画目標の達成のため、安全衛生管理体制の強化と安全衛生管理活動の活性化、リスクアセスメントの実施及び労働安全衛生マネジメントシステムの普及及び定着を図る。
また、長時間労働者に対する医師による面接指導を行う際にはメンタルヘルス面にも留意することについて周知を図るとともに、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」等の周知によるメンタルヘルス対策を推進する。過重労働による健康障害の防止を確実に行うため、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」により推進する。 |
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(4) |
労災補償対策の推進 |
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労災保険給付の請求については、被災労働者やその家族の生活に支障が生じないよう、迅速な事務処理に努める。 |
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(5) |
アスベスト対策の推進 |
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アスベストによる健康障害の防止、健康被害者救済等を確実に行うため、関係法令・制度の周知、計画届等の審査、監督指導等の実施、アスベスト製品等の全面禁止等の徹底、健康管理対策の推進、労働者災害補償保険法及び石綿救済法に基づく請求に対する迅速・適正な処理など、総合的・計画的な対策の推進を図る。
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2 職業安定の分野における重点対策 |
(1) |
求人・求職者サービスの充実 |
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都内の有効求人倍率は堅調に推移し、派遣・請負求人を除外した求人需要は好調であるが、職種・雇用形態・年齢別におけるミスマッチの縮小の対策が課題となっている。
そこで、平成19年度においては、就職率27%以上をはじめとする各業務の数値目標を定めるとともに、紹介・求人・保険部門が一体となった強力な業務推進、求人者及び求職者サービスの充実強化、求人・求職情報の集中化によるマッチング機能の強化により、求人充足及び就職促進の両面からマッチング機能の向上を図り、確実な目標達成を目指す。 |
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(2) |
雇用保険制度の適正な運営 |
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失業認定部門と職業相談部門との一体的運営により、更なる取組みを推進 し、雇用保険受給者の再就職促進を図る。このため、平成19年度の新規事業 として、認紹一体化モデル事業を実施する。また、電子申請の利用促進、パ ートタイム労働者の加入促進等の取組みのほか、改正雇用保険法の円滑な施 行に努める。 |
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(3) |
若年者雇用対策の推進 |
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学生・生徒は若年期からキャリア形成ができるよう職業意識形成・啓発のための総合支援、フリーターは25歳以上の年長フリーターを中心とした常用就職の促進、ニート層にはメンタル面でサポートを含めた支援体制の強化や職業的自立の実現に向けた取組みがそれぞれ重要となっている。
そこで、平成19年度においては、フリーター等の若年求職者の就職支援、大学、高校等の在学中からの職業体験機会の充実、新規学卒者に対する就職支援策の実施に取組む。 |
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(4) |
高年齢者雇用対策の推進 |
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65歳までの高年齢者雇用確保措置が義務化され、働き続ける環境が整いつつあるが、さらに年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けて取組みを推進する必要がある。
そこで、平成19年度においては、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づく高年齢者雇用確保措置の完全実施に向け事業主指導・援助を推進するとともに、高年齢者の再就職の援助・促進に取組む。 |
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(5) |
障害者雇用対策の推進 |
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障害者雇用の理解の促進と個別障害者の障害特性に対応した多様な雇用機会の場の確保がより重要となっており、また、「福祉から雇用へ」の移行促進のため、福祉施設・就労支援機関との連携を図り、障害者本人・保護者等への就職への動機付けや職場定着への支援等を充実することが重要となっている。一方で、中小企業における障害者の雇用率が極めて低い状況にあり、理解の促進と雇用の場の確保が求められる状況にある。
そこで、平成19年度においては、法定雇用率達成指導の徹底、障害者の雇用機会の拡大に取り組む。
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3 需給調整事業の分野における重点対策 |
(1) |
自主点検の促進と違法事案に対する厳正な指導監督 |
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労働者派遣事業、職業紹介事業の適正な運営を図るため、事業主の自主点検の実施等による自主改善を促進するとともに集団・個別指導を効果的に実施し、法違反に対しては是正の徹底を図る。
また、監督署・安定所からの情報及び派遣労働者等からの苦情・申告事案に対しては的確に対応する。 |
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(2) |
製造業を中心とした偽装請負の防止・解消に向けた取組の強化 |
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製造業の大規模事業所を中心とした個別指導を積極的に展開する。また、派遣と業務請負の区分基準等の周知啓発、労働基準部への情報提供や共同監督の実施、及び告発、行政処分等取り組みの強化を図る。 |
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(3) |
情報サービス業における派遣・業務請負の適正化 |
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情報サービス業における派遣・業務請負の適正化を推進するため、自主点検による自主改善の促進と集団指導、個別指導を効果的に実施する。 |
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(4) |
派遣先事業所への労働者派遣法等労働関係法令の周知啓発 |
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派遣労働者の適正な就業条件の確保を図るため、計画的な派遣先研修会を実施するほか、東京労働局内各部・室等と連携した事業主研修会を更に充実する。 |
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(5) |
許可申請・届出の適正な処理 |
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新規事前説明会の実施により、申請・届出を行う事業者に対する申請手続き等の円滑化と法の理解・浸透を図るとともに、電子申請の促進による効率的な事務処理に努める。
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4 雇用均等の分野における重点対策 |
(1) |
男女雇用機会均等確保対策の推進 |
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平成19年4月1日より施行される改正男女雇用機会均等法について、労使等に対し周知徹底を図る。また、同法が男女双方に対する性別による差別を禁止する法律となったことを踏まえ、労働者が性別により差別されることなく安心して働くことができるよう、積極的な指導等により男女均等取扱いの徹底を図る。特に労働者からの相談に対しては、そのニーズを踏まえつつ、調停等の紛争解決援助制度を活用し、円滑かつ迅速な解決に努める。 |
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(2) |
仕事と家庭の両立支援対策の推進 |
ア |
育児・介護休業法の施行 |
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育児・介護休業法の周知徹底を図るとともに、企業において育児・介護休業等の規定が適切に整備され、制度として定着するよう指導を行う。また、労働者からの相談に的確に対応し、法違反等について事業主に対する指導を行う。 |
イ |
次世代育成支援対策推進法の施行 |
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次世代法に基づく「基準適合一般事業主認定申請」について、的確かつ迅速に認定審査を行うとともに、できるだけ多くの事業主が認定を目指して取り組むよう周知、啓発を行う。また、行動計画の策定・届出が努力義務の、企業規模300人以下の事業主に対して、できるだけ多くの策定・届出が行われるよう周知、啓発を行う。 |
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(3) |
パートタイム労働対策の推進 |
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パートタイム労働法及び指針の浸透、定着を図るとともに、今国会に提出しているパートタイム労働法改正法案が成立した場合は、その円滑な施行に向けて周知、啓発を行う。
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5 労働保険適用徴収の分野における重点対策 |
(1) |
労働保険の未手続事業一掃対策の推進 |
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労働保険の未手続事業一掃対策については第一次労働保険適用促進3カ年計画の最終年に当たることから、局内及び署・所の情報及び事業主団体等を通じた未手続事業の的確な把握に努めるとともに、適用促進業務委託団体をはじめとする関係団体との連携を一層密にして加入勧奨・指導を行い、積極的に認定決定を行う。 |
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(2) |
労働保険料の適正徴収 |
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労働保険料の適正徴収を行い収納率の向上に努める。平成19年4月1日から「石綿救済法」に基づく一般拠出金の徴収が実施されるので制度の周知を図り適正な事務処理を行う。費用の公平負担を期するため算定基礎調査を計画的に実施する。滞納整理実施計画を策定して滞納整理を実施し、処分を執行する。印紙の不適正購入の未然防止に努め不正事故防止対策を図る。社会保険・労働保険徴収事務センターの業務については東京社会保険事務局と協議・調整を行い、一元的な事務処理を実施する。電子申請・電子納付について一層の周知に努め利用促進を図る。 |
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(3) |
中小零細事業主の負担軽減を目的とした労働保険事務組合の一層の活用、育成、指導等 |
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労働保険事務組合(以下「事務組合」)の活用を図るとともに適正に業務運営を行えるよう監督・指導に努める。委託事業場の算定基礎調査・滞納整理を実施する。労災保険特別加入の推進のため制度の周知を図る。
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6 個別労働関係紛争の分野における重点対策 |
(1) |
総合労働相談コーナーにおける適切な対応 |
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総合労働相談コーナーにおいては、個別労働紛争や様々な労働問題に関し、紛争の未然防止や早期解決について情報を提供し適切なワンストップサービスの実施に努める。 |
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(2) |
助言・指導及びあっせんに関する事務の迅速な実施 |
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助言・指導及びあっせんについては、紛争の解決に向けた迅速、適切な処理を行う。 |
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(3) |
紛争の自主的解決の支援及び個別労働紛争解決制度の周知 |
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労働紛争の自主的解決を促進するため、紛争自主解決支援セミナーを開催する。また、個別労働紛争解決制度の利用促進を図るため、周知、広報に取り組む。
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効果的な行政展開とサービス向上の基本となる事項の整備 |
1 効果的な行政展開 |
(1) |
関係機関等との連携による地域に密着した行政の展開 |
(2) |
電子申請の利用促進 |
(3) |
積極的な広報活動の実施 |
(4) |
事務の簡素合理化と業務運営の重点化 |
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2 行政サービスの向上 |
(1) |
適切な情報公開制度の実施 |
(2) |
行政機関個人情報保護法の円滑な施行等 |
(3) |
綱紀の保持 |
(4) |
研修の充実 |